言葉が出ない子どもへの接し方|親ができる3つの支援とは?

育児

子どもが「えっとね、うんとね……」と一生懸命話しかけてきてくれる。でもその後の言葉がなかなか出てこない。沈黙が続き、やがて「やっぱりいいや」と諦めてしまうーー。

そんな姿に、もどかしさと切なさを感じたことはありませんか?

私自身、長男が4歳頃までよくそんな場面に出くわしていました。待ってみたり、「どうしたの?」と声をかけたりしても、結局言葉にならず、伝えるのをやめてしまうことが何度もありました。

2歳を過ぎた頃から少しずつ話し始めた長男。けれど身内からは「言葉が少ないね」とよく言われました。現代の子育て世代では、こうした発言は避ける傾向にありますが、祖父母世代ではまだまだ無意識に口にしてしまう人も多くいます。

今回はそんな「ことばにできない子」への、親としてできる3つのサポートについて、私の体験と作業療法士としての視点からお話しします。


1. 言葉につまるのは「頭の中が頑張ってる」サイン

子どもが「えっとね……」と言っているとき、実は頭の中では一生懸命に言葉を探している最中です。表現したい気持ちやイメージはある。でもそれをどう言えばいいのか、整理が追いつかない。そんなとき、私はまず“待つ”ことを意識しました。

それでも難しそうなときは、子どもが言いたそうなキーワードを出してヒントを与えるようにしています。決して先回りして答えを与えるのではなく、子どもが「自分で見つける」きっかけになるような関わり方を意識しています。

発達・感覚・環境——どこに理由があるのかを見極めようとする視点も大切です。長男は発達が少しゆっくりで、さらに“環境”の影響も大きかったと思います。大人が先回りして確認したり代弁したりすることで、子どもが言葉を発するチャンスを奪ってしまっていたと今では思います。


2. 遊びの中で「気持ちの言葉」に触れる

言葉にしづらい気持ちを引き出すために、我が家では「喜怒哀楽ゲーム」を取り入れていました。

例えば、私が「怒った顔」や「悲しい顔」をして、「これは何の気持ちの顔でしょうか?」とクイズを出す。それに答えることで、遊びの延長線上で感情と言葉の結びつきを学ぶことができました。

また、感情だけでなく選択肢を用意してクローズドな質問を投げかけることも意識していました。「赤いズボンと黒いズボン、どっちがいい?」など、答えやすい質問から始め、徐々に「悔しい気持ちだった?悲しい気持ちだった?」というように感情面の質問に発展させていきました。

この流れを丁寧に踏むことで、子どもが「言葉で気持ちを伝える」練習を、自然な形で積み重ねていくことができたと感じています。


3. 言葉じゃない“サイン”を受け取る

言葉が出ないからといって、気持ちがないわけではありません。長男は表情や目線、姿勢など“体”で気持ちを表してくれることが多くありました。

たとえば、不満があるときは明らかに不機嫌そうな顔をする。遊びに夢中なときは身体の前のめり具合でわかる。大人でも「あ、この人機嫌悪いな」と雰囲気で感じることがありますよね?それと同じです。

私は彼の非言語のサインを丁寧に受け取るようにしていました。そして「〇〇が嫌だったんだね」とこちらから声をかけてみる。すると彼の目が少し柔らかくなったり、うなずいたりする瞬間がありました。


「話せない=ダメ」じゃない。焦りと比べから自由になるまで

もちろん、私にも「焦り」はありました。周りの子どもたちがペラペラと話しているのを見て、「なんでうちの子は……」と不安になったことも数え切れません。

時には「ちゃんと話してよ!」と怒ってしまったことも。でも今思えば、それは親である私が「他の子と比べていた」からこその反応だったと思います。

長男が3歳になり、少しずつ会話ができるようになると、彼なりの言葉の出し方やテンポがあることに気づきました。もうすぐ6歳になる今でも、言い回しが幼かったり、言葉足らずなことはあります。

けれど、彼の頭の中では「この言葉で合ってる?」と何度も確認をしてから言葉にしているんだ——そう理解できてからは、他の子と比べて落ち込むことはなくなりました。


おわりに:比べるよりも“見つめる”子育てを

他の子が上手に話していると、つい我が子と比べてしまうこと、ありますよね。

でも、まずは自分の子が「どうやって言葉と向き合っているか」を見てあげてください。その姿勢に気づくことができれば、「なんで話せないの?」という疑問は、少しずつ「この子なりにがんばってるんだな」という理解に変わっていくと思います。

うまく言えなくても、ちゃんと伝えたい気持ちはある。

そんな我が子の姿を、安心して受け止めてあげられるようなサポートを、私たち親ができるといいですよね。

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