※この記事にはアフェリエイトリンクを含みます

「記録って、正直しんどい…」「何を書けばいいかわからない」
作業療法の実習や新人時代、こんなふうに感じたことはありませんか? 実際、多くの作業療法学生や新人OTが「記録の書き方」でつまずきます。
でも大丈夫。記録は“慣れ”と“コツ”をつかめば、誰でも書けるようになります。
この記事では、臨床現場でも基本とされる【SOAP形式】を使った記録の書き方をやさしく解説。
「何を書けばいいの?」「どこまで書くの?」といった疑問にも具体例でお答えします。
実習や新人時代を少しでもラクに、前向きに乗り越えられるよう、一緒に学んでいきましょう。
第1章:なぜ記録が大切なのか?
- 法的な証拠としての役割:医療・介護の現場では、記録が「何を行ったか」「なぜ行ったか」の証拠になります。
- チーム連携の要:看護師や他職種との情報共有に欠かせません。
- 評価されるスキル:実習や新人時代の評価項目に必ず含まれる「記録力」は、臨床の基礎スキルのひとつです。
🟡【おすすめ書籍】
職場のメンタルヘルス不調 困難事例への対応力がぐんぐん上がるSOAP記録術 [ 川上 憲人 ]
価格:2,750円(税込、送料無料) (2025/5/18時点) 楽天で購入
第2章:SOAPとは?基本をおさらい
SOAPは、以下の4つの要素で構成されます。
- S(主観的情報):患者や家族の訴え、本人の言葉など
- 例:「今日は調子が悪い気がする」
- O(客観的情報):OTが観察・測定した事実
- 例:「歩行訓練中に2回ふらつきあり」
- A(評価):S・Oをもとにしたセラピストの分析・解釈
- 例:「昨日よりバランス能力が低下している可能性あり」
- P(計画):今後の対応、提案、注意点
- 例:「明日は屋内歩行から実施し、状況を確認予定」
🔸ポイント
- Aは“主観”ではなく“専門的な解釈”を書く場面
- Pは“とりあえず継続”ではなく、“次の一手”を明確に
第3章:やりがちな失敗とその改善法
① 時系列でだらだら書く → SOAP形式で整理すると、読みやすく、伝わる記録になります。
② AとPが毎回同じ文面になる → その日の目標や変化を意識。テンプレだけに頼らない。
③ 書きすぎてしまう or 書かなさすぎる → 「誰が読んでも理解できる情報量」を意識することが大切です。
第4章:SOAP記録の書き方【具体例つき】
ケース1:高齢者のADL訓練
- S:「昨日より腕が動かしやすいです」
- O:上衣更衣動作のFIM点数が4→5へ向上
- A:筋緊張の緩和と習熟により、ADL動作が向上している
- P:明日から下衣更衣動作の導入を検討
ケース2:脳血管疾患後の片麻痺
- S:「手が思うように動かない」
- O:物品把持時に手指の屈曲が不十分、時間を要する
- A:巧緻性の課題が継続中。動作に対する不安強め
- P:把持・離握の訓練を増やし、段階的に難易度調整
ケース3:実習生の記録ビフォーアフター
- Before(添削前):「作業を行った。特に問題なく終了した」
- After(添削後):
- S:「前よりも上手くできた気がします」
- O:立位保持15分可能、転倒なし、集中力良好
- A:作業への自信がつきつつある段階
- P:次回は立位作業の応用課題へ移行
🟡【参考にしたnote教材】
【実践PDFテンプレートつき】SOAP記録の書き方がわからない新人OT・OT学生さんへ
https://note.com/genkai_ot/n/n4da6d1590d64
第5章:記録がラクになる工夫とアイデア
「どう書けばいいかわからない」「時間がかかってしんどい」そんなときは、記録の“前段階”に工夫を加えることで、ぐっとラクになります。
● 書く前に考えを整理する
- 付箋メモ法:SOAPの各項目ごとに色を分けた付箋に思いついた内容を書いて貼ると、あとで記録にまとめやすくなります。
- メモ→整理→清書の流れ:完璧に書こうとせず、まずは頭の中を“見える化”するのがポイントです。
● 見るポイントをしぼると、記録も時短に
- 「全部記録しなきゃ」と思うと負担が増えるため、その日の目標や観察ポイントをあらかじめ絞っておくと効率的です。
- 詳しくはこちらも参考に:
● 自分の記録を振り返る習慣を
- 添削後の記録を比較することで、自分の考え方や視点の変化に気づけます。
- 記録もまた“臨床の一部”ととらえましょう。
第6章:実習・新人時代に知っておきたい記録の考え方
- 書く力=考える力:記録は単なる作業ではなく、自分の臨床思考を整理し、次の一手を導き出すトレーニングの場でもあります。
- “誰が読んでも伝わる”ことが大切:自分だけがわかるメモではなく、他職種が読んでも理解できるよう意識しましょう。
- 完璧より「まず書く」習慣を:うまく書けなくても大丈夫。まず書き出すことで、自分の思考パターンや課題に気づけるようになります。
- 上司や指導者の添削は“成長のチャンス”:ダメ出しに感じることもあるかもしれませんが、第三者の視点からのフィードバックは、自分では見えなかった視点を教えてくれます。
- 記録は“患者さんを見る力”を養う訓練でもある:記録を書くことを通して「どこを観察すべきか」「何が変化か」に敏感になり、臨床スキルが磨かれていきます。
第7章:まとめ|記録はあなたの成長記録
SOAP形式は、あなたの臨床思考をカタチにしてくれる大事なツールです。
最初は難しくても、書けば書くほど“考える力”が鍛えられ、臨床判断力も磨かれていきます。
「記録が苦手」と思っていた自分を、1か月後には超えていける。
今日から少しずつ、「書ける自分」を育てていきましょう。
関連記事
こちらも合わせて読んでみてください。