はじめに
子どもにとって「遊び」は単なる気晴らしではなく、発達に欠かせない学びの時間です。作業療法士として働きながら、5歳と1歳の兄弟を育てている私自身、日常の中で「遊びがこんなにも子どもの成長を支えているのか」と気づかされる瞬間がたくさんあります。
今回は、わが家の何気ない遊びのエピソードから見えた「遊びの力」についてご紹介します。
兄弟で一緒に遊ぶようになって気づいたこと
風船を投げ合う遊び
以前は別々に遊ぶことが多かった5歳と1歳の兄弟ですが、最近は2人で遊ぶ姿が増えてきました。
風船を投げ合う遊びでは、上の子の動きを下の子が真似して追いかけ、ゲラゲラ笑いながら楽しんでいます。
体を大きく動かすことで、自然に体幹やバランス感覚が育っているように感じます。
絵本を通したやりとり
絵本の時間でも成長を感じます。文字が少なめの絵本を、上の子が自分なりに物語にしたり、絵を説明したりして下の子に語りかけます。
すると下の子は絵を指差し、まだ言葉にならないながらも声を出して真似しようとします。
同じ遊びから、それぞれ違う学び
同じ遊びの中でも、上の子は「リーダーシップ」や「言葉で伝える力」を育て、下の子は「模倣」や「指差し」といったコミュニケーションの芽を育てています。
遊びは子どもそれぞれの発達段階に合わせて、自然に学びを引き出してくれるのだと実感しました。
作業療法士ママとして感じる“遊びの力”
風船遊び

体を大きく使う遊びは、バランス感覚や模倣力を育てます。単純に見えても、発達を支える大事な体験です。
ごっこ遊び

ごっこ遊びは言葉の表現力、想像力、そして社会性を養います。兄弟や友達と役割を分けて遊ぶことで、自然と協調性が育っていきます。
絵本の読み合い

絵本を読む時間は、語彙力を育てるだけでなく、注視する力や指差しによるコミュニケーションの練習にもなります。
大人からすると「ただ遊んでいるだけ」に見える時間も、子どもにとっては成長の大切な場面なのです。
忙しい親でもできる“遊びサポート”
子育てをしていると「今日は全然遊んであげられなかった…」と落ち込む日もあります。けれど、遊びは必ずしも長時間である必要はありません。
数分の風船遊びや寝る前の絵本1冊でも十分。大切なのは「短くても一緒に楽しんだ」という経験です。
親が一方的に何かを教えるよりも、子どもの発想や行動に「のっかる」ことが遊びを広げるポイント。子どもが「これをやりたい!」と言ったときに少し寄り添うだけで、遊びの世界はぐっと広がります。
よくある質問(Q&A)
- Q忙しくて子どもとじっくり遊ぶ時間がとれません。それでも大丈夫?
- A
大丈夫です。遊びは必ずしも長時間である必要はありません。数分の風船遊びや寝る前の絵本1冊でも発達のサポートになります。大切なのは「一緒に楽しんだ経験」です。
- Q上の子と下の子で遊びのペースが合わないときはどうしたらいいですか?
- A
発達段階が違うのは自然なことです。上の子には「教える・リードする役割」、下の子には「真似して学ぶ役割」と考えると、一緒に過ごす時間が発達の機会になります。無理に同じことをさせる必要はありません。
- Q遊びを発達につなげるために、特別な知育玩具は必要ですか?
- A
必要ではありません。日常にある風船や絵本、積み木などで十分です。むしろ「子どもの発想に親がのっかる」ことが遊びを広げ、発達を支える力になります。
まとめ
遊びは子どもの発達を支える大切な時間です。同じ遊びでも、年齢や発達段階によって得られるものは違います。
「今日は一緒に遊べなかった」と思う日でも、何気ないやりとりや少しの関わりが子どもの成長につながっています。
完璧でなくても大丈夫。子どもは一緒に笑った時間から、しっかり育つ力をもらっています。
作業療法士として、そして母として、これからも日常の遊びの中にある小さな気づきを大切にしていきたいと思います。
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