乳幼児期にぐんぐん伸びる「感覚統合」とは?作業療法士が発達の仕組みをやさしく解説。雨の日のおうち遊びや日常生活で取り入れられる簡単ワークも紹介します。
はじめに|「感覚統合」って、よく聞くけれど…
「感覚統合」という言葉を、育児情報誌やネット記事で見かけることが増えました。
でも、実際に何を指すのか、どうして大切なのか、よくわからない…というママ・パパも多いのではないでしょうか。
- なんとなく「発達に関係あるらしい」
- 子どもの落ち着きや集中に関わるって聞いた
- 支援が必要な子だけの話だと思っていた
でも、感覚統合はすべての子どもの発達を支える基礎。
早い時期に知り、簡単な関わりを増やすことで、お子さんの「感じる力」「集中する力」「動く力」がグンと育ちます。
この記事では、作業療法士の視点から以下を解説します。
- 乳幼児期の「感覚統合」とは?
- いつ頃・どんなプロセスで発達するの?
- 感覚統合のくるい(課題)のサイン
- おうちでできる簡単ワーク5選
- まとめ&次に活かすポイント
1|乳幼児期の「感覚統合」とは?
五感+身体感覚をまとめる力
感覚統合とは、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚に加え、体の位置や動き、重力・バランスなどの「身体感覚」を脳が一元的にまとめ、適切に反応するプロセスのこと。
- 感覚をキャッチ(目で見る・耳で聞く・肌で触る)
- 脳で整理・判断(これは熱い?痛い?面白い?)
- 体や心が反応(手を引っ込める・笑う・集中する)
この一連の流れがスムーズに行われることで、子どもは**「安全に・効率よく・楽しみながら」**環境に適応できます。
2|いつ・どんなふうに発達するの?
発達のステップ(0〜3歳を大まかに)
年齢 | 発達のポイント |
---|---|
0~6ヶ月 | 回転、寝返り、手足のバタバタなど全身運動から身体感覚を学ぶ |
6~12ヶ月 | ハイハイ・お座りで体重移動を経験。触覚やバランス感覚が急成長 |
12~24ヶ月 | つかまり立ち→歩行へ。視覚・聴覚情報を組み合わせた探索行動が増加 |
2~3歳 | 言葉やごっこ遊びなど、統合された感覚を使った複雑な遊びに発展 |
ポイントは「身体で感じる体験の量」。
歩いたり、触ったり、音を出したり…動いて学ぶほど、感覚統合はブラッシュアップされていきます。
3|こんなサインが出たら要注意!感覚統合のくるい
誰にでも一時的な「感覚のバラつき」はありますが、以下の状態が続くようなら、専門機関に相談を検討しましょう。
- 触覚への過敏・鈍感
- 紙や洋服のタグを必ず嫌がる
- 汚れを全く気にしない、気づかない
- 平衡感覚の不安定
- すぐにつかまり立ち・伝い歩きを求める
- 音楽や声のする方に寄っていけない
- 注意・集中の持続が難しい
- 少しの音や光でパッと気が散る
- おもちゃの変化に全く興味を示さない
- 情緒面の不安定
- 刺激が強いとすぐパニックになる
- いつも同じルーチンじゃないと泣き止まない
上記の状況が続いたり、ママやパパが「あれ?おかしいな?」と感じることがあったら、かかりつけの小児科や発達支援センター、作業療法士に一度相談をしてみてください。
専門家に聞いてみると、感覚統合の問題ではなく性格上の特性であるということがわかることもあります。
一人で悩まずに、まずは相談してみましょう。
4|おうちで簡単!感覚統合サポートワーク5選
作業療法士でも現場でよく使う、特別な道具不要でできるワークを厳選しました。1日5分から気軽にチャレンジしてください。
ワーク1:クッションごろごろ(バランス感覚)
- 方法:大きなクッションを床やベッドに並べ、その上をごろごろ転がる。
- ねらい:身体の傾きや重心移動を感じ取り、平衡感覚を養う。
ワーク2:タオル引っ張りっこ(触覚+筋力)
- 方法:大きめのバスタオルを両端持って引っ張りっこ。
- ねらい:手のひら全体で触覚刺激を受け、握る力・肩の筋力を促進。
ワーク3:トンネルくぐり(視覚+身体感覚)
- 方法:椅子やソファの下にシーツをかけてトンネルを作り、中をハイハイでくぐる。
- ねらい:目と身体の連携、空間認知をトレーニング。
ワーク4:音あそびシャワー(聴覚+触覚)
- 方法:ペットボトルに穴を開けてリボンを通し、小さな鈴やビーズをつける。振るとゆらゆら鳴る仕掛け。
- ねらい:音の反響や振動を感じながら、手指のコントロールを強化。
ワーク5:おやこでタッチング(社会性+触覚)
- 方法:お互いの手・腕・肩・背中を「ここは何色かな?」と優しく触り合う。
- ねらい:安心感のある触覚刺激で情緒を安定させ、親子の信頼関係を深める。
5|まとめ&次に活かすポイント
- 感覚統合は誰にでも大切な発達の土台。
- 身体を動かし、触れて、感じる体験が成長を促す。
- 専門的なサインが気になれば、早めに相談を。
- 簡単ワークは毎日の「楽しいスキマ時間」に取り入れてみて。
「忙しくて難しい…」と感じるときは、5分だけ…。
ママ・パパ自身が楽しみながら行うのが一番のコツです。
次回は、今回紹介したワークを写真付きで解説する記事を予定しています。お楽しみに!