こんにちは。
「作業療法士」という職業名は知っていても、実際にどんなことをしているのか、詳しくは知らない人も多いと思います。
私自身、新人の頃は「何をしたらいいんだろう?」と戸惑うことも多かったです。でも、作業療法士の仕事はとてもやりがいがあり、人の生活に深く関わる大切な役割があります。
今日は、作業療法士の基本的な仕事内容や、仕事の楽しさ・難しさについて、具体例も交えながら丁寧にお話ししますね。
作業療法士の仕事の目的とは?
作業療法士の仕事は、一言で言うと「その人らしい生活を支えること」です。
病気やケガ、障害があっても、自分でできることを増やして、毎日の生活を楽しめるようにサポートします。
例えば、手が不自由で洋服の着替えが難しい方が、自分で着替えられるように練習したり、転びやすい家の中に手すりをつける提案をしたり。
体の機能だけでなく、心の面や環境にも目を向けて支援を行います。
作業療法士が実際にすること
具体的な仕事内容は現場や利用者さんによって異なりますが、大まかに次のような流れです。
- 本人や家族の話をじっくり聞く
どんな困りごとがあるか、どんなことがしたいか、どんな生活を送りたいかを丁寧に聴取します。ここでの信頼関係が支援の基盤です。 - 身体や認知機能の評価を行う
動きの制限や感覚の状態、認知機能のレベルをチェックします。数値や検査だけでなく、「本人の気持ち」も大切に評価します。 - リハビリ計画を立てる
目標を設定し、本人が続けやすい方法でプログラムを作ります。
例えば、手の細かい動きの練習や、歩きやすくなるためのトレーニングなど。 - リハビリや訓練を実施する
一緒に体を動かしたり、生活動作の練習を行います。励ましながら、できることを少しずつ増やしていきます。 - 生活環境の整備を提案する
自宅に戻ったときに安全に過ごせるよう、手すりの設置や福祉用具の紹介を行います。 - 多職種と連携して支援する
医師や看護師、ケアマネジャーと情報共有し、総合的にサポートします。
具体的な事例:私の経験から
新人の頃、ある70代の男性の患者さんがいました。
脳梗塞で片側の手足が動かしづらく、特に服の着替えが大変でした。
初めは補助具を使ってもらいながら、少しずつ片手での着替え方を練習。
本人は「もう自分でできない」と諦めていたけど、根気強く支えた結果、3か月後には一人でできるようになりました。
その時の患者さんの笑顔は、私の仕事の中でも忘れられない瞬間です。
専門用語の解説:ADLとIADL
作業療法士の評価や目標設定でよく使う言葉に「ADL(Activities of Daily Living)」と「IADL(Instrumental Activities of Daily Living)」があります。
- ADL
食事・着替え・トイレ・入浴など、生活の基本的な動作。 - IADL
買い物・掃除・料理・金銭管理など、日常生活の中でより高度な活動。
作業療法士は、このどちらもできるだけ自分でできるように支援していきます。
よくある質問Q&A
Q1: 作業療法士と理学療法士の違いは?
A: 理学療法士は主に「歩く」「立つ」などの基本的な体の動きを改善することが中心です。
作業療法士は「生活動作」や「手を使う細かい動き」など、より生活に密着した支援を行います。
Q2: 仕事で大変なことは?
A: 利用者さんの体調や気持ちが日々変わるため、計画通りに進まないことも多いです。
また、体力的にも精神的にも負担がかかる場面があります。
Q3: 資格を取るには?
A: 専門学校や大学で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。
働く場所による違い
作業療法士の働く場所は多様で、それぞれに特色があります。
- 病院(急性期・回復期)
手術直後の患者さんの早期リハビリや、生活復帰のための訓練。 - 介護施設・老健
日常生活の維持や認知症ケアに力を入れています。 - 訪問リハビリ
利用者の自宅で、実際の生活環境に合わせた支援を行います。
仕事のやりがいと難しさ
作業療法士の仕事は、決して楽ではありません。
- 利用者さんの回復が思うように進まない時は、悔しい気持ちになります。
- 体力的にもきつい場面があり、時には心が折れそうになることもあります。
ですが、努力の結果、利用者さんができなかったことができるようになる瞬間は、何物にも代えがたい喜びです。
「ありがとう」と感謝の言葉をもらえると、この仕事を選んでよかったと心から思えます。
今後の展望
作業療法士の需要は今後も増える見込みです。
高齢化社会が進み、介護やリハビリのニーズはさらに高まります。
また、障害のある子どもへの支援やメンタルヘルス分野への関わりも広がっています。
新しい技術や知識を学び続けることで、さらに幅広い分野で活躍できる仕事です。
まとめ
作業療法士は、身体や心、生活環境に目を向け、その人らしい暮らしを支える大切な仕事です。
具体的には、本人や家族の話を聞き、身体の機能を評価し、リハビリや環境調整を行い、多職種と協力して支援します。
大変なこともありますが、その分やりがいも大きく、多くの人の人生に寄り添える素敵な仕事です。
作業療法士を目指す方も、迷いや不安はあると思いますが、「人の役に立ちたい」という気持ちがあれば、必ず成長できます。
一緒に頑張っていきましょう。