「S・Oは書けるのに、Aだけ手が止まる…」
「毎回”継続”か”変化なし”しか書けない」
作業療法の実習や新人時代、SOAP記録のA(評価)につまずく人はとても多いです。
でも、Aが書けないのはあなたの思考力が足りないからじゃありません。
「Aに何を書くべきか」が整理されていないだけです。
この記事では、Aが書けない原因と、臨床思考を言葉にするための具体的なコツを解説します。
一緒に学んでいきましょう。
第1章:なぜAだけ書けないのか?
SOAPのうち、S(主観)とO(客観)は「起きた事実」を書くだけなので、比較的書きやすいと感じる人が多いです。
一方でA(評価)は、「自分の頭で考えたことを、専門家として言語化する」という作業が必要になります。これが難しい理由は主に3つあります。
- 「自分の意見を書いていいのか」という不安:学生や新人は「間違えたら怖い」という気持ちから、書くのをためらいがちです
- 何を根拠にすればいいかわからない:S・Oとの結びつけ方がピンとこない
- テンプレに頼りすぎている:「継続」「変化なし」で済ませてしまうクセがついている
完璧に書こうと思わなくても大丈夫ですよ。
まず自分の言葉で書いてみることが大切です。
第2章:AはS・Oの”答え合わせ”じゃない|よくある誤解
Aを書くときに多いのが、「S・Oに書いたことをまとめただけ」になってしまうパターンです。
Aは要約じゃなくて「臨床的な意味づけ」を書く欄です。
「何が起きたか(事実)」じゃなくて「それはどういう意味か(解釈)」を書くのがポイントです。
具体的に見てみましょう。
S:「今日は体がだるい気がする」
O:歩行訓練中に2回ふらつきあり
→ これはS・Oの要約にすぎません
📖 SOAPの基本からおさらいしたい方はこちら
【もう迷わない!】SOAPでスッキリ書ける作業療法の記録のコツ
第3章:Aを書くための3ステップ思考法
「解釈といってもどうすれば…」という方のために、Aを書く前に使える思考の流れを3ステップで整理しました。
前回と比べて何が変わった?変わっていない?まず変化・不変を確認します。
例:「前回FIM4だったのが今日は5になった」→ 向上している
その変化(または不変)はなぜ起きたか、自分なりの仮説を立てます。
専門書どおりじゃなくていい。
「たぶん〇〇が原因では」という考えを持つことが大事です。
例:「訓練を続けたことで筋緊張が緩和されてきたのでは」
STEP1・2を踏まえて「今この患者さんはどういう状態か」を専門的な言葉でまとめます。これがAの核心です。
例:「ADL動作の習熟が進み、自立度が段階的に向上している状態」
・目標(ゴール)との照合:今の状態はゴールに向かっているか?
・リスクの視点:このまま進めていいか、注意すべきことはないか?
📖 評価の視点をもっと詳しく知りたい方はこちら
作業療法実習で評価がわからない学生さんへ|現場で役立つ”見るべきポイント”まとめ
第4章:具体例で学ぶ|ビフォーアフター
ケース1:高齢者のADL訓練
S:「昨日より腕が動かしやすいです」
O:上衣更衣動作のFIM点数が4→5へ向上
ぜひ意識してみてください。
ケース2:脳血管疾患後の片麻痺
S:「手が思うように動かない」
O:物品把持時に手指屈曲が不十分、動作に時間を要する
📖 片麻痺のADLアプローチをもっと詳しく知りたい方はこちら
【OT的思考を公開】片麻痺の高齢者へのADLアプローチ|セラピストの頭の中をのぞいてみよう
ケース3:実習生のビフォーアフター
S:「前よりも上手くできた気がします」
O:立位保持15分可能、転倒なし、集中力良好
第5章:「継続」「変化なし」しか書けないときの脱出法
毎回同じAになってしまうのは、「変化がない=書くことがない」と思っているからかもしれません。でも実際には、変化がないこと自体にも意味があります。
- 変化がない場合:「なぜ変化が起きていないのか」を考えてみる
例:「訓練量は十分だが、疼痛による意欲低下が影響している可能性がある」 - 「継続」しか書けない場合:「今の訓練を継続することが適切な理由」を1行添えるだけでAになる
例:「現在の訓練強度は適切と判断。段階的な向上が見込まれるため、現プログラムを継続する」
「なぜ変化しないのか」「このまま継続してよい根拠は何か」を書くのがA。
行き詰まったらこの3問を自分に聞いてみて。
・今日のS・Oから「気になること」はあったか?
・先週と比べて何かひとつでも違うことはあったか?
・もし自分が担当OTなら、次に何をしたいと思うか?
この3問に答えるだけで、Aのヒントが出てきます。
第6章:まとめ|Aが書けるとPも変わる
Aがしっかり書けるようになると、自然とP(計画)の質も上がります。
「なんとなく継続」ではなく「この理由でこの訓練を選ぶ」という臨床判断ができるようになるからです。
最初はうまく書けなくて当然。
3ステップ思考法を使いながら、少しずつ自分の言葉で書く練習を続けてみてください。
書けば書くほど、あなたの臨床思考は確実に育っていきます。
・AはS・Oの要約ではなく「臨床的な解釈」を書く欄
・3ステップ(変化を探す→なぜ?→今の状態を一言で)で考えると書きやすくなる
・「変化なし」「継続」でも、理由を1行添えるだけでAになる
・Aが書けるとPの質も上がり、臨床判断力が磨かれていく
